植物機能工学研究室では、植物の物質生産能力の制御メカニズムの解 明を目指しています。特に、植物に お ける物質生産機構の中心に位置する光合成と窒素同化の制御にかかわる転写制御因子およびシグナル伝達因 子の機能の解明に重点を置いています。関連して、必要量が多い土壌栄養素であり、窒素とともに肥料の三 要素となっているリンとカリウムの欠乏応答の制御メカニズムの解明も目指しています。このために、ゲノ ムワイド関連解析(GWAS)や遺伝子共発現解析などのin silico解析による重 要遺伝子の同定を行うと共に、分子生物学的実験手法、生化学的実験技術、分子生理学的実験手法を用いた 遺伝子機能の解析を行なっ ています。また、トランスクリプトミクス、プロテオミクス、メタボロミクスといった包括的解析も導入し て、様々な側面から複雑な現象に迫ろうとしています。物質生産の制御ネットワーク内の重要遺伝子の機能 強化やゲノム編集により、栄養素(炭素、窒素、リン、カリウム)の獲得や獲得した栄養素の利用効率が向 上した作物の創出も行っています。このような研究は、食料の増産、低炭素社会の実現、持続的農業の達成 など今日的な課題の解決に貢献することが期待されます。